今年映画化されたクライマーズハイ。
横山さんの本は今まで読んだことが無かったのですが、「半落ち」や「出口のない海」等、続々と映画化されるに当たって読んでみました。
話はあの日航機墜落事故を題材に、地元新聞の記者である主人公が、事故時と事故から十七年後との二つの時間軸を交差させながら進みます。
さすが元新聞記者だけあって、話の構成や文章力は素晴らしく、著者自身が体験したであろう”修羅場”の雰囲気がぐいぐいと伝わってきます。
私自身も、過去二十年近い会社員生活の中で、2、3回の修羅場を経験しましたのでわかりますが、そういう場に置かれるとホント気分はハイになってくるんですよね。
睡眠不足が重なると、感情のブレはとても大きくなりますし、あとで考えるとなんであんな行動をしたのだろうと疑問に思うことも2,3点あったりして...
この話の主人公もそう。
段々とテンションが高くなってきて、感情も大きくぶれる様子がよく表現されているなぁと感じます。所々に十七年後の普通の時間の流れが挟まっているのいるので、なおさら事件当時の異常さが際だちます。
いやーとても面白く読めました。
が、ふと読み終えて気づいたのですが、この本で著者は何を言いたかったんだろう?私の読解力が貧弱なのかもしれませんが、ちょっとメッセージが読み取れないことに気づきました。
新聞記者の使命?
いやそれほど主人公は使命感に燃える反骨心ある人には思えません。
それとも新聞社内のパワーゲーム?
いやそれもあるけど、それがメインとは思えないし...
はて?
著 者:横山秀夫
ジャンル:小説
出版社:文藝春秋
文庫版471ページ
価 格:660円
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