犯人の特定に使われているDNA鑑定。
ただそれは遺留品が被疑者のものか、その同一性をDNA鑑定するもの。
この話では、それを一歩進めた国民のDNAをデータベースに登録し、遺留品のDNAとデータベースから被疑者(もしくはその親族)を探し出すというシステムをめぐる話です。
そういうシステム自体はそんな荒唐無稽なものではないと思いますが、その意味をよくよく考えると恐ろしい話ですね
そのシステムの稼動により犯罪の検挙率は向上、しかしそれをあざ笑うように発生した連続婦女暴行殺人事件。早速遺留品をシステムで分析しますが、その分析結果は該当者無し。単にサンプルが不足しているのか、それともシステムそのものの欠陥か?
それを確かめようとしている矢先にシステムを開発していた兄妹が殺された。犯人の遺留品から検出されたDNAは驚くべきデータを示していた。
てなストーリーなんですが、ちょっと東野圭吾にしてはストーリー展開がお粗末。
上記あらすじはオビにも書かれている導入部ですが、その導入部を読んだ時点でその先のストーリー展開が読めてしまいました。
真犯人自体はちょっと意外性がありましたが、ただ話の展開がなぁ... 話の主軸が、主人公の浅間が追っている事件なのか、それとももう一人の主人公である神楽の話なのかブレちゃって、真犯人が判ってもイマイチすっきり感がない。
しかもあまりにもチープな結末だし...
この本は幻冬舎の創立 年記念特別作品だそうですが、そういやフジテレビ開局 年記念映画のアマルフィもろくでもない映画だったなぁ... もっとも小説版は面白かったですけど。こういった記念作品って期待しちゃいけないものなんですかね?
あっ、断っておきますと、幻冬舎は出版社の中では一番好きな出版社です。
この出版社からでる本は、やっぱり小説家だけでなく編集者の力量というのも大事なんだなと思うほど、すばらしいものばかりです。でもこの本はちょっといただけないなぁ...
著者 東野圭吾
出版社 幻冬舎
四六版 431ページ
価 格 1,680円
私も東野小説のファンです。文庫本でないかな!
投稿情報: japanesecashmere | 2010/09/19 20:33