この本、誰かに勧められたのか、どこかの書評でみたのか忘れちゃいましたが、この作家の本を初めて読みました。
不思議な力を持った小学生である「ぼく」。
みんなで飼っていたウサギの悲惨な姿を目にし、感情を閉じこめ登校拒否になってしまった幼なじみのふみちゃん。
ぼくは果たしてふみちゃんの為にこの力を使うべきなのか、同じ力を持った先生の元に通って悩む姿を描いた小説です
その力とは相手に言うことを聞かせることができる能力。
いろいろ制限がつく能力ではあるものの、使い方によっては恐ろしい能力になります。
だからこそ「ぼく」は、ウサギを殺した犯人にこの力を使うのか、使うならどういう風に使うのかを悩むわけなんですが、これって結構難しい問題ですよね。
罪の重さをどう考えるか、罰はどうあるべきなのか...
以前読んだ、光母子殺人事件を扱った「殺された側の論理」、「なぜ君は絶望と闘えたのか」を読んでいても感じてたのですが、刑罰って一言にいうけど、因果応報としての刑罰、犯罪抑止としての刑罰、そして教育としての刑罰、様々な側面があります。
そしてその刑の重さはどうやって計るのか?
これだけ価値観が多様化したなか、絶対的な基準が無いだけに非常に難しい。
最近、始まった裁判員制度、日本の制度では裁判員が有罪無罪だけでなく量刑も決めんですよね?果たして裁判員になったら...ちょっと考えてしまいます。
タイトル中の「メジャースプーン」、その刑の重さを量るという意味での暗喩だと思いますが、難しいなぁ。あっ、この小説自体は難しくないですよ、テーマが難しいというだけで。でもそのテーマを考えなければ普通のあまり面白いとは言えない小説って感じになっちゃいます。
著 者:辻村 深月
ジャンル:小説
出版社:講談社
文庫版:279ページ
価 格:800円
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