ウォッチメイカーで登場し、ライムに協力したカルフォルニア州警察局(CBI)のキャサリーン・ダンスが主人公の推理小説です。 まあリンカーン・ライムシリーズのスピンアウトものですね。
ライムが科学捜査を駆使して犯人を追い詰めるのに対し、ダンス(それにしても凄い名前だ)はキネシクスを駆使します。
キネシクスとは、犯人や証人の言葉使いやボディーランゲージ(無意識のものを含む)から、嘘や重要なポイントを見つけ出す科学的捜査手法だそうで、簡単に言えば「人間嘘発見器」ですね。
でも嘘発見器と違うのは、尋問を相手の反応を見ながら行うこと。
質問内容、言い回しを相手や状況によって変えたりできることが、次々と巻き起こる事件に役立ちます。
スリーピング・ドールは脱獄したカルト集団の指導者ペルを追い詰める話ですが、いろいろな目撃者や証人をキネシクスを用いて質問し、ペルの行動を推理し追い詰めていきます。
いやー捜査手法はライムとはまったく違うモノの、小気味良いテンポで話は進んでいき話中にグイグイとひきこまれます。しかし悲しいかな、残りのページ数を考え、「ここで話が終わるハズがない」「ディーヴァーだからもう一捻りあるハズ」と考えてしまうのはヒネクレモノの性ですね...
でも私はライムシリーズより楽しめたような気がします。
ライムシリーズは途中に挿入されるホワイトボードへ書き上げられた項目(事実)が正直うざったい...。このキャサリーン・ダンスもシリーズ化して欲しいなぁ...
訳者あとがきによると、ディーヴァーは既にライムシリーズが1冊、それ以外の本が1冊刊行されているそうで、そちらも楽しみです。
スリーピング・ドール
著 者:ジェフリー・ディーヴァー
訳 者:池田 真紀子
ジャンル:小説
出版社:文芸春秋
四六版:544ページ
価 格:2,500円
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