宇宙エレベーター、軌道エレベーターとも言われたりしますが、要は静止衛星軌道上から地球にロープを下ろし、そのロープを使って宇宙へ行こう!という技術です。
この発想は昔からあっていろいろな小説に登場していますが、10万kmという長さでかつ様々な力に耐えうるケーブル技術が無いためにあくまでSF小説の中でしか語られていませんでした。
ところが近年の素材技術の発達によりカーボンナノチューブを使った高張力ケーブルの開発に目途が立ったためにわかにその実現性が増したのです。
この本はタイトル通り、その「宇宙エレベーター」技術について様々な角度から分析、そして解説した本です。
私は「宇宙エレベータ自体」は実現可能だろうなと思ってはいるのですが、あまりにもこの本は薔薇色すぎてちょっと...いや、この本の内容は素晴らしいです。
あらゆる角度から検証してみて、それに対する回答が導き出されていますので、すぐにでも実現可能なように思えてしまいます。
しかし、ひねくれ者のワタシとしては、アチコチ突っ込みたいところが...
要は都合のいいことは各種データを用いて、丁寧に解説しているのですが、都合の悪いことはさらっとしか触れてないんですよね。
例えば宇宙へ行くのは宇宙エレベータを使えば、今までの分の1で行ける様になると、数字を用いてぶち上げているのですが、その根拠となる数字の記載は皆無。
アースステーション(ケーブルを地球で固定する基地)は海上に作り、衛星や小惑星の衝突を避けるためにケーブルを移動させる、なんて記載もありますが、どうやって?
ケーブル自体の重量は無視するにしてもケーブル自体には大気の流れでかなりの張力がかかっているはず?それだけの力に対抗して移動させることなんかできるの? とか
ケーブルに落雷があったり、これだけの長さだとケーブルが帯電してしまうんじゃないのとか...
まあいろいろありますけど、こういう技術を考えるのって楽しいですよね。
著 者:ブラッドリー C エドワース / フィリップ レーガン
訳 者:関根 光宏
ジャンル:ノンフィクション
出版社:ランダムハウス講談社
四六版:360ページ
価 格:1,890円
おおっ。yomikakiさんが宇宙エレベーターを。
エドワード博士の書いた宇宙旅行はエレベーターで:Leaving the Planet by Space Elevatorはどちらかというと広く一般に宇宙エレベータを知ってもらうための書籍という位置にある本のようです。そのためyomikakiさんのようなすでに十分な理解をされている方には物足りない部分があるようです。
もしさらに深く突っ込んだ知識が必要でしたら「The Space Elevator」という同じくエドワード博士の書いた本があります。ただ、英語なんですよね・・・
yomikakiさんが英語に困らない人であればお貸ししますよ~。
もっと詳しい情報を日本語で知りたいときは
日本宇宙エレベーター協会
http://jsea.jp/
にいらしてください。垂直方向のジオキャッシングやりましょう;-)
投稿情報: smalltalk | 2008/07/07 08:26
日本宇宙エレベーター協会のページ見ました。つい最近シンポジウムがあったんですね。
その中で見覚えのある方の顔も発見。
どこかでチラリとそういう話をしているのを耳にしたような気がしたのですが、やっぱりsmalltalkさんでしたか...
英語には十分苦労してますので、本はムリだと思います(笑)
でもこういうのを考えるのって楽しいですよね。
こんどいろいろ教えてください。
投稿情報: yomikaki | 2008/07/08 07:41