主人公、トム・カーターは遺伝子学者。
彼の発明した遺伝子解析システム ジーンスコープは人間の遺伝子を、まるでスーパーにおけるバーコードのように読み込める。その発明によって彼はノーベル賞を受賞することができた。しかし同時に人の遺伝子を解析するという行為は神を恐れぬ不遜なこととして、狂信的キリスト教集団に命を狙われることなり、ノーベル賞受賞式で妻を殺されてしまった。妻はテロリストに命を奪われたが、一方で妻の死により遺伝性の腫瘍が一人の娘にも発症することがわかった。残り時間はあとわずか、その時トムは...
ひとことで言うと、インディ・ジョーンズとミッション・インポッシブルとを掛け合わせたような小説です。つまり映画化されたときの状況が実に浮かびます。その上「こんなのいくら小説だとは言えありえないようなぁ」というB級映画のような安っぽい記述(シーン)があったりします。だからこそ、よけい映画っぽいんでしょうね。
そういった部分は目をつむるとして、話の筋はよく練りこまれており、面白かったですよ
この作品は1997年に発表され、舞台設定は2002年と、もう昔の話となってしましたが、今、近未来小説として読んでも違和感ありません。現実のバイオインフォマティックスの分野では、昨年4月14日にヒトゲノム計画によりの解析が終了しました。そのプロジェクトが大きく前進したのは、セレラ・ジェノミクスというベンチャー企業がスーパーコンピューターを駆使して解析したと報道されています。まさにトム・カーターのジーン・スコープさながらです。
ただ解析が終了したといっても、読み取りが終了しただけで、DNAのどの部分が遺伝情報としてどういう意味を持つのかは、今まさにコンピュータで解析を行っているようで、まあまだジーン・スコープのようにはいかないようですね。
この話、ビジュアル的に派手なシーンがたくさんあるなあと思ってたら、すでにディズニーが映画化の権利を買っているそうです。おそらく小説で読むより映画で見たほうが楽しめると思う話です。早く映画化されないかなぁ?
イエスの遺伝子
マイクル コーディ 著
ジャンル 小説
発行 徳間書店
四六版 510ページ
価格 1,890円
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