財務省と自衛隊を定年まで勤め上げた樋口と大友。
かつての職場の上司によって、送り込まれたJAMS(全国中小企業振興会)なる組織は、広い執務室に保証された高給と天下り役人にとって天国のような職場。
JAMSは中小企業の債務保証を行っている組織であり、彼らの仕事は時効を過ぎた借金を取り立てるという無理難題、だから成績を残さなくてもまったく問題無し。
けれど給料泥棒のような境遇に我慢がならないこの二人、適当に仕事をしているふりをしている先輩達をさしおき、真面目に仕事を取り組んでしまったことから、さあたいへん。
とまあ、役人の天下り(と官僚主義)を猛烈に皮肉っている痛快な小説です。
この本、年初に図書館で予約していて、ようやく借りることができました(笑)
人気作家の場合予約が殺到するのは常ですが、図書館が何冊購入するかはその時次第。まあ市内の図書館、一館に一冊のときもあるし、そうじゃない時もあるので、いつくるのかはその時次第です。
浅田次郎は時代小説からの鉄道員やプリズンホテルに到るまで、幅広く書いている小説家ですが、やっぱりこの人の本は面白いですね。
この小説も天下りに対する皮肉ももちろんのことですが、真面目で報われない人たちが活躍する様子が、痛快に活躍するところがまた良いです。
(まあ最期はどんでん返しがあるのがまたヨシ)
もうちょっと図書館の本の数を増やしてほしいなと思う本でした。(買えという話もありますが...笑)
著者 浅田次郎
出版社 幻冬舎
四六版 302ページ
価 格 1,575円
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