久々に、新聞で新田次郎の名前を目にしたので、読んでみました。
山岳小説といえば新田次郎、とばかりに、山によく登っていた高校生、大学生の頃はよく読んでいた気がしますが、最近はとんとご無沙汰してました。この話はタイトル通りアラスカが舞台で、アラスカのエスキモーと暮らした日本人、フランク安田が主人公の実話をベースにしたお話です
アラスカの日本人と言うと、写真家の星野道夫が思い浮かびます。
残念なことに、カムチャッカでクマに襲われて若くして命を落としてしまいましたが、彼はアラスカのエスキモーとともに暮らしたアラスカの写真家というイメージがとても強いですよね。あの魅力的なアラスカの大自然の中の動物達を写した写真はとても魅力的です。
フランク安田は、星野道夫から遡ること80年余り、1900年以前からアラスカのエスキモーと暮らし始めた日系一世です。彼はエスキモーの娘と結婚しただけでなく、エスキモー村のリーダーとなり、鯨の不漁などで壊滅的な状態だったエスキモー達を内陸部に移住させた、ジャパニーズモーゼあるいはアラスカのサンタクロースとも呼ばれている伝説の人らしいのです。
それだけでも凄いのに、移住に必要な費用は金鉱を発見しそれで得た富を使用したというから、もう唖然とするしかありません。さらに晩年は第二次世界大戦による日系人の強制収容も経験、まさに波乱万丈の人生を過ごした人。もう大河ドラマになってもおかしくありません。いや是非やっていただきたい。
史実を元に、丹念な取材の元に出筆されたこの本、新田次郎の文章の上手さもあり、読んでいてアラスカの自然が目の前に浮かび上がってくるような、ホント素晴らしい話でした。
あ~アラスカに行きたくなってきました。
とりあえず星野道夫の写真集でもみるかな?
著者 新田次郎
ジャンル ノンフィクション
出版社 新潮社
文庫版 467ページ
価 格 660円
コメント