「報道できなかった自衛隊イラク従軍記」で読んだ金子貴一さんの本で、ちょっとタイトルに惹かれて読んでみました。
秘境添乗員とは、まさにその字面通りで、通常だと行かないような場所まで観光するツアーの添乗員さんです。ここでいう秘境というのはいわゆるジャングルの奥深くではなく、エジプトの辺境やらシリアなどのいわゆる中近東の政情不安定なところという意味合いが大きいかな?
それもそのはずこの金子さんはアメリカ留学後にエジプトにも留学した、もはやエジプト人と言っても良いくらいの人。
実の危険を感じるツアーの様子、視察ツアーだったのに現地のエージェントがまったく視察を手配しておらず真っ青になったという失敗談、エジプトでの留学生活など、興味深い話ばかりです。
冒頭にも書いてありますがこの本の構成は、秘境添乗記である第一部、秘境添乗員になるまでの第二部、イラク戦争をめぐるジャーナリストとしての第三部、国内秘境をめぐる第四部の四部構成になっています。タイトルだけ見ると、秘境ツアーの裏話的な本かと思いますが、どちらかというと金子さんの中近東への思いの丈を綴った本という風に捉えた方がいいのでしょう。
でも第四部はちょっと蛇足ですね。国内の秘境添乗の話ならまだしも、著者の家族の話がメインで???感が否めません。ページ数も30ページ余りだし、まさに蛇足。
また第三部はそれはそれで面白いのですが、自衛隊イラク従軍記とかぶる内容が多く、もう少し整理してもらえればなお良かったんじゃないかな?
著者の日本とにアラブ諸国との架け橋になりたいと思いがひしひしと伝わってくる本でした。
著 者 金子貴一
ジャンル ノンフィクション
出版社 文藝春秋
四六版 436ページ
価 格 620円
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