以前読んだリストラ請負会社の話「君たちに明日はない」の続編です。
続編が出ているとは本屋で見かけるまで知らなかったし、ましてやNHKでドラマを放映中とはオビを見るまで知りませんでした。
リストラ請負会社に勤める面接官の真介。その真介と面接を受ける人々。
その面接を通じて感じる真介の心境、そしてリストラされる人々の事情が織りなすストーリーです。
この本も前作同様、オムニバス形式。
ただ前作は真介側のストーリーのウェイトが高かったような気がしますが、続編だからか、ウェイトがリストラされる側にやや移っているような気がします。その分、最後の話はリストラとは異なる真介の始めた新規事業の話で、全体のバランスを取っている感じかな?
それ以外の話は、デパートの外商部、生命保険会社に、消費者金融、山間の温泉ホテルのリストラ話。会社それぞれの事情に、面接される人々の事情の織りなすストーリーはまさにドラマですね。
でも暗くなりがちな話の中で、懸命に生きている主人公たちの様子が胸に響きます。この本のタイトルにもなっている「借金取りの王子」もそう。リストラの話はあれど、この話は面接を受けた「借金取りの王子」こと宏明のラブストーリーです。姐さん女房っていいもんなんだなぁと感じたりして(笑)
ちなみにこのシリーズ、既に続編が出ているようですので、そっちも読んでみたいと思います
著 者 垣根 涼介
ジャンル 小説
出版社 新潮社
文庫版 436ページ
価 格 620円
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