本屋で見かけて思わず買ってしまった科学系ノンフィクションの本です。
表紙を見て分かるようにこの本は化石がテーマ。しかもまさにこの写真の化石がテーマになっています。
素人が見てもなんだか分からないこの化石。
実は人間の進化過程を研究する上で非常に重要な位置づけと考えられている化石だそうです。
今日、地球上、人間を含む様々な霊長類がいるわけですが、そのいろんな種類の霊長類がどのように進化してきたかは、いろんな仮説があって長い間議論されているとか。
なぜそのようなっているかというと、話は単純、要のポイントの化石が見つかっていないから(笑)進化の過程で、いろいろな種類に分岐する時点の霊長類の化石が発掘されていないということです。
過去の動物が化石となって見つかるのには、たくさんの幸運が重なる必要があります。
その動物が死に絶えた場所、その後のその場所の状況、そして今日無事発掘されるといういろいろな条件が重なる必要があるわけです。
ところが!
このイーダと名付けられた化石が、まさに、霊長類の進化の過程を研究する上で必要な化石だったというワケです。
実際にイーダによって判ったことはまだまだ少なく、これからの研究結果を待つことになりそうですが、本の帯に書かれている「進化史を書き換える驚異の化石」の言葉通り、近々新聞を賑わしてくれるのじゃないでしょうか。
この本の内容は大きく二つに分かれます。
一つはこの化石を巡るノンフィクションの部分、ドイツで化石が発掘された状況やそれがノルウェーの研究者の手に渡るまでの経緯など。
もう一つはなぜこの化石が重要な位置を占めるのかということを知るための、霊長類の進化の過程やその時代背景など科学的な説明の部分です。
正直科学的な説明の部分は、かなり専門的で(もちろんやさしく解説してありますが)、かなりとばし読みをしてしまいました。もう少し内容を整理してすっきりしてもらえると、読みやすかったのではと思います。
著 者:コリン・タッジ
訳 者:柴田 裕之
ジャンル:ノンフィクション
出版社:早川書房
四六版:382ページ
価 格:1,890円
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