マイノリティの拳でちょっと気になる存在となったノンフィクションライターの林 壮一。
彼を知るきっかけとなったのは日経ビジネスの連載なのですが、その連載の中で、彼がアメリカの公立高校を退学となったあるいは入学できなかった生徒達を対象とする、チャータースクールという学校の教師となった話が幾度となく出てきており、興味涌いて図書館から借りてきました。
けれど彼がライフワークとして追い続けるボクシングチャンピオン達の生い立ち、そしてその中の一人、ジョージ・フォアマンが問題児を支える活動をしているのを知って、何か感じてたものがあるのでは無いかと思います。
ただ実際に教員として教壇に立ったところ、授業中歩き回る、雑談する、エスケープする、人の話を聞かないなど基本的なしつけがなされていない生徒達に愕然とします。
そんな生徒達に著者は、辛抱強く試行錯誤を繰り返しながら、信頼関係を築いていきます。 そして明らかになる生徒達の家庭環境の問題。薄々とは感じていたものの、読んでる方としても貧困の連鎖という言葉が思い浮かび、やりきれない気持ちになってしまいます。
そう思いながら読んでいてフト気付いたのですが、これって最近の日本の状況とそう変わらないですね。気付いて愕然としました。
ちょっと前から言われている「学級崩壊」これはチャータースクールの状況そのものですし、さらには先日のニュースで発表のあった日本の貧困率。OECD加盟国平均の10.6%を大きく上回り、アメリカの17.1%に次いでのワースト4位であるは15.7%という数字。
もちろん単純な数字だけでは比較できるわけではありません。けれど決して他人事でもないような気がしました。
それにちょっと心配になったのは、アメリカの場合は著者が教師となったチャータースクールのような学校があり、またそれ以外にもボランティアによる子供たちをサポートする仕組みがあります。じゃあ日本の場合はどうなんでしょう...
ちょっと考えさせられる一冊でした。
著 者:林 壮一
ジャンル:ルポルタージュ
出版社:光文社
新書版:259ページ
価 格:777円
間違いなく日本も、アメリカの下層教育現場の道筋をたどると思います。
これは国家予算縮小・教育予算の削減から見ても、同じ傾向にあります。
金がないと良い教育は受けられなくなります。
投稿情報: japanesecashmere | 2009/11/05 13:45
Japanesecashmereさん
ウチは子供がいないので日本の実情はよく判らない部分もありますが、困ったものですね。
やっぱり教育にお金をかけられない国に未来は無いと思うのですが...
投稿情報: yomikaki | 2009/11/06 07:35