世界一高いワインっていくらするかご存じですか?
デパート等のワイン売り場の中で鍵のかかったセラーに入ったワインでも、一本5万とかするワインってザラにありますよね。
じゃあ世界一高いワインはというと、それは1985年にイギリスのクリスティーズで落札されたワインでお値段、10万5000ポンド、日本円にして3150万円! 信じられないですね。
そのワインはアメリカ第三代大統領であるトーマス・ジェファーソンが所有していたと謂われ、約200年前のワインです。むろんそんな昔のワインですから、いくら保存状態が良いと言っても、美味しいわけありません。
もう狂気の沙汰ですね。まあ、アメリカの歴史をうかがい知るという観点から見ると、妥当だと考える人がいても不思議じゃありませんが...
しかし、それもこのボトルがその謂われ通りであれば、の話です。でもそのボトルに真贋論争が巻き起こってしまった...
この本はその世界一高いワイン「ジェファーソン・ボトル」を巡る騒動を綴ったノンフィクションです。
確かにお酒って、飲んでしまえば無くなるワケですから、本物か偽物かの証拠は残りづらい。
そもそもその銘柄通りのものであるかは、人間の味覚とその記憶に頼っているわけですから、真贋を見極められる人もホント少ないハズですよね。
ひと昔の話しですが、日本酒ブームのころに新潟の銘酒「越乃寒梅」に偽物が出回ったという事件がありました。もっと最近でも幻の焼酎と謂われるものにも偽物があるのではと耳にしたことがあります。
希少価値だからこそ、値段が高い。値段が高いからこそ偽物が出る。しかも希少価値だから飲んだことある人が少ないので見破られる可能性が少ない。そういったことでしょうね。
日本酒、焼酎だからこそタカがしれてますが、ボトルの中で熟成が進むワインだとなおさら古いモノに価値を見いだしますし、投機的にお金をつぎ込む人たちもいるワインはさらに値段が上がる要素が高いのでしょう。
この本では当時のワインを巡る状況から、このジェファーソンボトルをめぐる人たちの人間模様を克明に綴っていて、読み応えがありました。
ただ一つだけ残念だったのは、この真贋論争、まだ続いて結論がついていないコト。なんか読んでいてオチが無いような気がしてちょっと残念。とはいえ、面白かったですよ。
世界一高いワイン「ジェファーソン・ボトル」の酔えない事情―真贋をめぐる大騒動
著 者:ベンジャミン・ウォレス
訳 者:佐藤桂
ジャンル:ノンフィクション
出版社:早川書房
四六版:384ページ
価 格:2,310円
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