「神の拳」で登場したSASの将校 マイク・マーティンが再び活躍するスパイ小説です。
と言っても私は、「神の拳」を読んじゃいないんですけどね。でも読んでなくてもまったく問題なく読めました。
911事件、そしてアメリカのアフガニスタン侵攻、混迷を続ける世界情勢。
そんな中パキスタンのペシャワルでアルカイーダの財政を司る男の居場所が判明した。現場に急行するパキスタンのテロ対策本部。
彼は自ら、命を絶ってしまうが、現場に残されたパソコンよりアルカイーダが大規模なテロを計画していることが判明した。その名はアル-イスラ。
アル-イスラとは何か?
果たしてテロを防ぐことができるのか?
さすがフォーサイスと思わせる、現在の世界情勢を緻密に反映させた小説です。とかく偏見の目で見られやすいイスラム社会やアフガニスタンという国についても、ニュートラルな立場で解説されています。
ただ...
できる限り、正しく情報を伝えることに重きを置いているせいか、小説としてはちょっと...
いや、面白くないというワケではありません。でもこの本上下巻に分かれていますが、実際の小説としての部分は正味半分、下巻から始まると言っても過言じゃありません。要するに前置きが長いんですよね。
昔読んだ「第四の核」や「ジャッカルの日」などは初めからドキドキしながら、読めたものでしたがそういう意味では今回の小説はちょっとガッカリです。
ますます雑化する世界情勢に加え、イスラム社会を題材にしているので、それらについて正しく理解してもらうという点に重きを置いたノンフィクションよりの小説だと考えるべきなのかなぁ?
著 者:フレデリック・フォーサイス
訳 者:篠原 慎
ジャンル:小説
出版社:角川書店
四六版:(上)255ページ・(下)269ページ
価 格:(上)(下) 各1,785円
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