「電車運行維持のためぬれ煎餅を買って下さい!!電車修理代を稼がなくっちゃ、
いけないんです。」
一昨年の暮れ、上記の文章で一躍有名になった銚子電鉄。この本はその銚子電鉄でTVやマスコミ対応をし、
銚子電鉄の日記というブログを書いていた向後項作さんが、その騒動やローカル電鉄の苦悩、そしてまちづくり町興しについて綴った本です。
ご存知のように、この騒動は冒頭の文章が銚子電鉄のHPに載ったことに端を発します。やがてそれは2ちゃんねるで話題になり、 ぬれ煎餅の注文が殺到する事態に。そしてその様子がTVに取り上げられて、だんだんと騒ぎは大きくなります。
その中で大きな役割を果たしたのがインターネット。
そもそもの情報発信がHPなら、みんなの支援が広がったのもインターネット、
そしてTVで初めて銚子電鉄について知った人がさらに詳しい事情を知る手段になったのもインターネットでした。
もちろんTVの取材対応をした向後さんの人柄もあるのでしょう。電車の修理代の予算繰りに目処がつき、
うれしさのあまり涙を流した向後さんの様子は多くの人の心を打ったのではないでしょうか?
またもっと向後さんの人柄が感じられたのは銚子電鉄の日記帳というBlog。
「今日も無事に運行終了しました。」という一文で始まるエントリーは鉄道マンとして使命感と誇りを感じてました。
この本では、そんな向後さんの人となりをBlog以上に感じられます。
奇しくもぬれ煎餅騒動の最中、千葉大の都市環境システム学科に社会人学生として通学していた向後さん。そこで学んだこと、
感じたことがこの本にも書かれていますが、決して銚子電鉄という一会社の事だけでなく、地方都市の問題・
ローカル鉄道の進むべき道などについても纏められていて、真面目な方なんだなぁと感じます。
なんだか久しぶりに銚子に行きたくなってきたなぁ...
著 者:向後項作
ジャンル:ノンフィクション
出版社:日経BP社
四六版:180ページ
価 格:1,470円
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