いろいろ議論がある東京裁判。
その裁判で無罪判決を出したというパール判事については、なんとなくそんな人がいたなぁというコトぐらいでよく知りませんでした。(もちろん東京裁判についても)
そんな中、shidehiraさんのエントリーでこの本を知り、また奇しくも安部元首相がインドを訪問した際パール判事の息子に面会したというニュースを耳にしたのもあって、読んでみることにしました。
作者は「中村屋のボース」を書いた中島 岳志。
「中村屋のボース」はどちらかというと論文調で、少し読みづらいところがあったのですが、この本もやはりそんな感じ、でも「中村屋のボース」より読みやすいかな?
ノンフィクションは大なり小なり、著者が題材に関した積み上げた事実の間を補完するようなところがあるものですが、そこをどう埋めるかによって、物語的なノンフィクションと論文的なノンフィクションと方向性が分れるのでしょう。
この本では議論の多い東京裁判というものを題材に、しかも日本無罪論というものの拠り所にされているパール判事だからこそ、論文調に、隙の無いように綴っていく必要があったのかもしれません。
パール判事は、あの東京裁判はそもそも勝者の裁きであり、法論理的には日本人戦犯は無罪であると主張しています。もちろん法論理的にはということであり、判事自身もアジア各地でおきた事件そのものは断罪すべきものであるということは否定していません。
その辺りを曲解し戦争は正しかったという結論を導き出そうとする人たちに、中島 岳志さんはパール判事の判決書を元にそれは違うということを論じようとしているわけです。
しかし日本の戦犯は重大な犯罪人であるという世界的な世論がある中で、あのような判決を下したパール判事の信念は凄いものがありますね。
もちろん自身の出身であるインドにおける列強の状況を踏まえ、それならば戦勝国も犯罪を犯しているであろうというコトを暗に責めているのでしょうけど。
東京裁判を知る上で非常に勉強になりました。
著 者 中島 岳志
ジャンル ノンフィクション
出版社 白水社
四六版 309ページ
価 格 1,890円
>shidehiraさん、
>chanshiraさん
明けましておめでとうございます。
正月からコメントありがとうございます。
けれどせっかくコメント頂いたのに誤操作でスパムと一緒に削除しちゃいました。
本当に御免なさいm(_ _)m
懲りずにまたコメント戴けると幸いです。
投稿情報: yomikaki | 2008/01/03 11:18