ようやくというか今更ながら、「硫黄島からの手紙」を観にいってきました。
アカデミー賞にノミネートされているとはいえ、もう公開からだいぶ経っているし、しかもレイトショーならガラガラだろうと思っていたら、意外に人がいてびっくりしました。
ひょっとしたら貸し切り状態かも?なんて思っていたのですけどね。
硫黄島は戦略上重要な拠点であり、凄惨を極めた戦いであったことは前から知っていました。けれどこの「硫黄島からの手紙」でクローズアップされた渡辺謙演じる栗林中将のことは、まったく知りませんでした。
いわゆる「玉砕」した島という意識もあって、そこで戦った人たちは中村獅童演じる伊藤中尉のような典型的な日本軍人達ばかりだろうと思っていたのですが、そんなことは無かったのですね。むろん映画ですから、どこまでが史実に基づいているのかはわかりません。ただwiki等で見る限り、いわゆる闇雲に兵力を消耗するような戦いはしなかったようです。
映画は、自決シーンなどショッキングなシーンもありますが、どちらかというと全般を通じて淡々と話が進みます。
だからこそ、栗林中将そして一兵卒である西郷の心境がくっきりと浮かび上がってきます。アメリカでの生活の経験があり、日本とアメリカの国力の差を判っていながら、最後まで戦い抜かなければならない栗林中将のやるせなさ。「お国の為に尽くす」ことが納得しきれない、逃げ出したいと思っている、ある意味正常な(あの時代では異常?)な西郷のなさけなさ、それらがしみいるように伝わってきました。
それ以外にも、硫黄島で戦った人たちのひとりひとりの様々な想いが、遠い過去の話でなく生きていた人間の戦いがあったということを気づかせてくれた気がします。
こういった映画って、なにか結論があるとか感動したとかいうものではないと思います。
けれど硫黄島の戦いそのものだけでなく、自分自身や自分の周りなど確実にいろいろ考えさせられたような気がしました。
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