いわゆる20年ほど前、暴走族の最盛期の頃です。
横浜銀蠅、ナメ猫等 いわゆるツッパリがカッコイイという風潮があり、それっぽいカッコをしている生徒は沢山いましたが、本当の意味でグレた生徒はほんの一握りだったような気がします。
ガラスを割る、火災報知器を鳴らす、廊下をバイクで走るなんてコトをしていたのはその一握りの生徒達でした。
それは多分、今の時代も一緒でしょう。
でも違うなと思うのはイジメ。
少なくとも私の時は今のようなイジメというのはありませんでした。
普通の生徒が、自分と対して変わらない生徒をちょっとしたきっかけで、シカトしイジメていく。
そんなことはなかったような気がします。
この本の主人公 みちるは小学校の時はイジメていた方、そして中学に入りひょんなコトからイジメられる方に変わります。みちるをイジメるのは普通の生徒たちで、著者に名前すら与えられず顔が見えない大多数の生徒というところがゾッとします。いまのイジメの現状なんでしょうね。
逆に名前のある登場人物はみちるを助けてくれる優子、みんなのパシリというちょっと変わった立場にいる斉藤くん、そして、グレた生徒である瞬。
それらの登場人物は自分なりの考えを持ち、現状を何とかしようともがいています。
そう、瞬でさえも。
子供は大人の鏡だとか、学校は社会の縮図とかよくいいますが、だとすると一番問題なのは「何も考えないこと」「ただ周りに流されていくこと」
そんなことを考えながら読み終えました。
著 者 瀬尾 まいこ
ジャンル 小説
出版社 角川書店
四六版 203ページ
価 格 1,365円
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