夫が好きでないことに気づいてしまったリリ。
結婚した時は好きだったはずなのに...
家には居たくない。
夫が寝ている家をそっと抜け出し、夜の公園をふらふらと散歩する。深夜だというのにいろんな人がいる公園。千鳥足の人、寝そべっている人
そして自転車でぐるぐると廻っている青年。
その彼と昼間のスーパーで出会って...
とまあ、いわゆるW不倫の"金妻(ちと古い?)”みたいなストーリーが、視点を変えたオムニバス形式で進みます。ですが、愛憎まみれた泥沼的な話にならず、淡々とというか飄々というか進むのは川上弘美ならでは。
ある日突然、自分の思いに気づくということ、それが愛情を抱いていることに気づくのであれば幸せですが、逆の場合はとても不幸。そんなことを感じました。
最近、似たような文体の女流作家が増えてきてますが、やっぱり川上弘美の文章は心理描写が見事で抜きん出てますね。
著 者 川上 弘美
ジャンル 小説
出版社 中央公論新社
四六版 240ページ
価 格 1,470円
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