AK47、通称カラシニコフ。
簡素な構造がゆえに信頼性の高いこの銃は世界中の紛争地帯で必ず登場します。
前作ではアフリカの"失敗国家"におけるAK47の実態に迫った力作でしたが、今回も南米とアジアにおけるAK47に迫ります。
実は今回で取り上げられているAK47は、AK47 カラシニコフではありません。
旧ソ連時代にライセンス供与された旧共産圏の国々が、ライセンスが切れた後も勝手に製造を続けている違法コピーなのです。完全な違法行為なのになぜ製造が続けられるのか?それは需要があるからの一言につきます。
コカインの製造による潤沢な資金のあるコロンビア。
ここではAK47の値段はアフリカ諸国の10倍の値段で取引されています。
テロ支援国家として、空爆を受けその社会的基盤を破壊されたアフガニスタンとイラク。
それらの国では自分の身を守るために武装せざろう得ません。
こうして見るとこの本で取り上げられている国々は、世界唯一の超大国となったアメリカに大きな影響を受けていることが分かります。
もしアメリカで、銃規制が厳しかったらあるいはコカインが流通していなかったら、コロンビアに銃が溢れることはなかったでしょう。 もし戦後のアフガニスタンやイラクの治安維持ができていれば、一般市民も武装する必要が無かったでしょう。
もちろんテロを支援している国、独裁国家が良いとは思いません。
けれど大国の影響を受けてもがいている国の様子を読むといろいろ考えさせられます。
前作同様、優れたドキュメンタリーですね。
著 者 松本 仁一
ジャンル ノンフィクション
出版社 朝日新聞社
四六版 288ページ
価 格 1,470円
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