この本は ダン・ブラウンの最新作だと私は思いっきり勘違いしてましたが、実はデビュー作なんですね(いや日本においては最新作には間違いないんだけど...)
この本はアメリカのNSAを舞台にしたサスペンスです。NSAという機関は世界中の通信を傍受している、アメリカの国益に役立つような情報を集める実在する諜報機関で、エシュロンという通信傍受システムは有名ですね。
通信傍受するということは、日本では憲法にもうたわれているようにプライバシーを侵害するということ。なのでプライバシーに侵害を強く訴える市民団体やハッカーなどがNSAと敵対しています。
でもテロリストに対抗するという国家の名分があれば、プライバシー侵害もやむなしというのが、主人公やNSAの立場なのです。
この本でのポイントはココだと思います。
この話は絶対解けないという暗号を公開されないようにNSAが阻止するという話なのですが、その主人公やNSAの立場に共感できるか否かで、話に引き込まれていくかどうかが決まります。私はどちらかというとちょっと...という方だったので、むしろNSAの方がなんとなく悪者っぽいなと感じて、あまり没頭できませんでした。
暗号を開発したのがテロリストで何かを企んでいるところという筋書きだったら違ったかも知れませんが...
その上この話には二人の日本人が登場しますが、トクゲン・ヌマタカとエンセイ・タンカドという名前私が聞いたことないようなへんてこりんな苗字(そんな苗字の人が見てたら御免なさい)と名前。
ますます「なんだかなー」的な感じになってしまいます。
話が下巻に入ると、ダ・ヴィンチ・コードのようなテンポの良さで引き込まれて行きますがそれまで持たない人がいるかも。
最後の方では一応、どんでん返しのようなものがありますが、なんとなく事前に判ってしまったし、やっぱりイマイチ誰が悪者なのかスッキリ感しません。
「んーん、確かにデビュー作ね」と納得いく話でした。
著 者 ダン・ブラウン
訳 者 越前 敏弥 , 熊谷 千寿
ジャンル 小説
出版社 角川書店
四六版 (上)300ページ ・ (下)284ページ
価 格 上・下巻 各1,890円
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