でも、その度に疑問に思いませんか?
なぜ、そんなに簡単に盗まれるのか?
盗んでも有名すぎて売れないんじゃないの?
それとも盗品と判りつつも購入するような熱心な収集家がいるのだろうか?
そして…忘れたころにひょっこりと姿をあらわすまで、どんな捜査が行われているのだろうかと。
この本は1994年2月12日、リレハンメル・オリンピックの開会式の行われた朝に、オスロから盗まれたムンクの『叫び』の盗難事件を例に、そんな疑問に答えてくれます。
盗まれたムンクの『叫び』を取り戻すため、ノルウェーとイギリスの警察当局は手を結びます。そして主人公はスコットランドヤード美術品特捜班、おとり捜査官のチャーリー・ヒルです。彼はアメリカの美術館のヨーロッパ買い付け担当になりすまし、善意の第三者として犯人に接触をはかっていきます。
無事絵は取り戻せるだろうか?
絵の取り扱いはちゃんとしているだろうか?
ひょっとして偽物をつかまそうとしてないだろうか?
あらゆる要素を考慮しながら、でも警察だとは悟られないように接触を図ります。
そうまるで本物であるかのように相手を値踏みしつつ、取引を成立させようと試みていく様子は、まさにノンフィクションだからこそ。
思わず引き込まれていきます。
この本ではこのムンクの『叫び』を取り戻す100日間が主軸ではありますが、それ以外にもチャーリー・ヒルが過去に捜査に当たった美術品盗難事件や、それ以外の有名な事件についても触れています。
美術品窃盗の犯人像、犯罪者の間を渡っていくの美術品の様子など、さまざまのケースを興味深く読み進むことができました。
特に印象的だったのはそれは『モナリザ』の事件。
世界一有名といっては過言ではないこの絵も盗難にあっています。
でもその犯人がまた頭がよくて感心(?〉させられます。
この犯人、盗んだ『モナリザ』自体を処分しようとはしてないのです。
『モナリザ』盗んだ後そのニュースが全世界を揺るがしたことを確認してから、あたかも盗み出した本物の『モナリザ』であるかのように偽って、アメリカの6人のコレクターにそれぞれ偽物を売りつけたというのです。
買ったほうも、仮に偽物だと気づいたとしても、盗難を承知で買った熱心なコレクターですから、後ろめたくて警察に届け出ない。しかも同じことを6人に対して行っているんですよ。
なんとずる賢いことか!感心してしまいました。
このことを書いた本もあるそうですから、こんど探して読んでみたいと思います。
この本でチャーリー・ヒルがなんとか取り戻したムンクの『叫び』、残念なことに再度盗難にあって、今はまた行方不明です。またまた美術品特捜班と犯人との知恵比べを行っている最中なのでしょうか?
ムンクを追え ! 『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日
著 者 エドワード・ドルニック
訳 者 河野 純治
ジャンル ノンフィクション
出版社 光文社
四六版 418ページ
価 格 1,785円
はじめまして。私も読みました。
「へ~~そうなんだぁ」と感心しつつ、あっというまに読み終えました。
トラックバックさせていただきました。
投稿情報: hane330 | 2006/02/17 22:21
hane330 さん、こんにちは
おとり捜査の舞台裏、ちょっと興味そそられますよね。
私もあっという間に読み終えました
投稿情報: yomikaki | 2006/02/18 11:57
こんばんは。
フェルメール奪回の話だけ
まず最初に読んでみました。
ブルータスでは紹介されていなかった
詳細かつリアルな描写で
引き込まれながら読んでしまいました。
TB送らせていただきました。
投稿情報: Tak | 2006/03/07 22:32
Takさん、こんにちは。
絵画泥棒、なにか興味をそそられますよね。
自分の興味のある絵なら尚更です。
投稿情報: yomikaki | 2006/03/07 22:41