明治初頭に日本を訪れたイギリス婦人、イザベラ・バード。
彼女は日本の中でも”奥地”と考えられていた東北から北海道までを、しかも通訳兼ガイドの日本人の青年と二人きりで旅行したのです。
この本はそんな彼女の旅の様子を、妹へ出した手紙をもとに再構成し、出版したものです。
120年以上昔に、そんな自由闊達な女性がいたこと自体も驚きますが、そんな彼女をガイドがついていたとはいえ、安全に旅行できた日本もまた素晴らしいと思います。
確かに、”奥地” である東北の地方の宿は虱がいたり、異人さんを一目見ようと押し寄せる好奇の目に辟易としますが、誰もが貧しいながらも仕事をしていることを自らの故郷、イギリスの物乞いの多さに比較して、奥地であるとはいえ素晴らしいことだと感嘆しています。
この旅行は横浜・東京~日光、日光~新潟、新潟~函館、そして北海道と主に四つの段階から成り立ってますが、特に会津街道の鬼怒川沿いの風景、梅雨時に重なった青森での旅、いまやもう失われてしまったアイヌの人たちの暮らしが非常に印象的でした。
著者 イザベラ・バード
訳者 高梨健吉
ジャンル ノンフィクション
出版社 平凡社
文庫版 529ページ
価 格 1,575円
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