いつか行きたいと思ってる南極、なんでいくつかの南極に関する本を読んでます。
エンデュランス号を初めとする南極点を目指す冒険時代のノンフィクション系、南極面白料理人などの読み物系など。
でも考えてみると今の南極の様子をきっちりと、そして科学的に解説した本は読んでいなかった気がします。
そういった意味では、あまり難しすぎずわかりやすく現在の様子や判ってきたことを解説してくれる最適な本でした。
この本はNHKスペシャルという番組を、そのまま本にしたと思えば一番わかりやすいと思います。実際に南極で取材を行った人、内陸のみずほ基地の越冬隊員、国立極地研究所の所長が、科学的に南極について解説してくれます。
南極は約1億年前にほぼ今の位置に移動したが、そのころはまだ南米大陸と地続きでそれほど寒くはなかったこと。3500万年前に南米大陸と切り離され、南極周極流(南極大陸の周りを回る海流)ができて、どんどん冷えていったこと。
その他にも南極大陸から発生した冷たい海水の流れは、深海の海底を滝のように流れ北緯40度付近まで達していること、それが赤道付近の海水が際限無く熱くならないように調整しているそうなんですね。
などなど、初めて知ったことばかりです。南極の地球環境における役割、それが判ったのは各国の調査隊の観測結果なんでしょう。
読んでいて面白いなぁと思ったのは、各国の観測の仕方にお国柄が出ていること。昭和基地はともかく、アメリカとイギリスの違いは興味深く読みました。
アメリカは飛行機で大量の物資を南極に運び込み大規模の基地を作り上げ、本国にいるのと同じ環境を作り上げてます。それに対し、イギリスは1チーム数人の観測隊が数チーム、数百m四方誰もいない南極大陸の中を移動しながら、3ヶ月に渡って観測をするというちょっと冒険的な観測をしているようです。
冒頭に書いたように、いわゆる読み物というよりは南極についての知識を深める本でしたが、非常に為になりました。
NHK「南極」プロジェクト編
ジャンル ノンフィクション
出版社 NHK出版
四六版 280ページ
価 格 1,995円
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