マット・デイモン主演の「ボーン・アイデンティティ」の原作です。
プロットこそ一緒ですが、話の筋は映画とぜんぜん違います。というより映画が原作を大胆に書き直したってところでしょうか?
主人公は傷を負い地中海を漂っていた記憶喪失の男、ボーン。
ボーンは自分の正体を知るべくチューリッヒの銀行に出かけられるが刺客に襲われる。途中、ヒロイン マリーを巻き込みながら、手がかりがありそうなパリを目指すといったストーリーはだいたい同じ。
ただマリーはカナダ人の経済学者だし、フランスの老政治家やオートクチュール店員達といった映画にはないキャラクターが多数登場します。
以下ネタバレ注意
(ひょっとしたら、映画のシリーズの3作目のストーリーに関ってくるかも)
一番大きく違うのはそのもの。映画ではCIAの暗殺者を作り上げたこと自体がトレッドストーン計画の目的になっていますが、小説では暗殺そのものが目的でなくカルロスという暗殺者を炙り出すことが真の目的となってます。
ひょっとしたら、この辺りが映画の三作目のストーリーに絡んでくるかもしれません。
私は速読のタイプなのですが、この本なかなか読み応えがあります。先日読んだ「天使と悪魔」はぐいぐいと2~3日の通勤で読み終わりましたが、この本はじっくり読まないと背後関係や策略が理解できません。漫画でいうゴルゴ13のようなものでしょうか。
でも面白いです。ボーンの苦悩が判るかのように、上巻では内容がよく理解できなくてなかなか進みませんが、だんだんテンポと速くなり、下巻ではひきこまれるように読めます。だから上巻で放り投げたくなっても、しばらくがまんがまん!映画とは違った楽しみがあります。
著 者 ロバート・ラドラム
訳 者 山本 光伸
ジャンル 小説
出版社 新潮文庫
文庫版 440/401ページ
価 格 (各)660円
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