ジェームス・クック。その名前は世界史の教科書の片すみに、大航海時代の終わりに世界を一周を成し遂げ、ハワイ諸島を発見し、ニュージーランドの測量等を行なったイギリスの船乗りだと書かれています。
確かにその通りなのですが、彼が航海したのは距離は述べ地球8周分。それは月まで距離とほぼ一緒。18世紀という時代を考えると、その航海は一言で済まされない何かがあるように思えます。
この本はピューリッツァー賞 受賞ジャーナリストである著者が、キャプテン・クックが訪れた場所を訪れ、「その場所は現在どうなっているのか?」・「クックの来訪は原住民にどう感じられたのか?」・「そしてクック自身はどんな人であったのか?」について、取材したノンフィクションです。
キャプテン・クックは、タヒチ・ニュージーランド・オーストラリアなどの”未開の地”を訪れ、ハワイ諸島を”発見”しました。”発見”されたポリネシアの人々にとって、「クックの来訪をどう感じたのか?」については、残念ながら原住民の側からの記録は数少なく、当時の人々がどう感じていたのかはわずかな例外を除き、よく判っていません。
しかし確かな事実はあります。
それはキャプテン・クックを初めとする船乗りは、ポリネシアの島々で豊かに暮らしていた人々にとって災いをもたらしたこと。様々な病気・西洋の武器による部族間の争い・アルコール中毒。あっという間に人口は激減してしまします。そして彼らの伝統は、圧倒的に流れ込む西洋の文化に飲み込まれ、今では廃れるかあるいは僅かにその片鱗を見せるだけになってしまいます。
そんな大航海時代の代表のように思われ、原住民からは諸悪の根源だと思われているクックはどういう人であったのか?
著者はキャプテン・クックの生まれ育ったイギリスのヨークシャー地方を訪れ、どういう人柄であったのか調べようと試みます。そして現地で気づく、目立つことを嫌うヨークシャー気質、クェーカー教徒の教えとの整合性。いろいろと想像はふくらみます。
単純な航海の軌跡を追った本ではありません。
いろいろと考えることの多いノンフィクションでした。
青い地図~キャプテン・クックを追いかけて(上)
青い地図~キャプテン・クックを追いかけて(下)
著者 トニー・ホルヴィッツ
訳者 山本光伸
ジャンル ノンフィクション
出版社 バジリコ
四六版 上巻 333ページ,下巻 381ページ
価格 上下巻とも 1,680円
ニュージーランドに縁のある本の1つで読みましたよ!
相棒のロジャーがイイ味出してますよね。
楽しく読めた記憶があります(^^)
投稿情報: ayumi | 2005/01/09 22:38
ayumi さん、こんにちは。
キャプテンクックといえば、ニュージーランド。
ニュージーランドといえば、パラ天ですね。
ロジャーはいい味出してますよね。
著者はあまりにも生真面目ですけど、ロジャーのおかげでマイルド(?)なノンフィクションになってますよね。
まるで弥次喜多道中みたい(笑)
ps.あー、ニュージーランド行きたい。
投稿情報: yomikaki | 2005/01/10 10:39