自分の運転する車で交通事故を起こし、植物人間状態から立ち直った克己は、病院のみんなから奇跡の人と呼ばれている。ただ事故前の一切の記憶を失ったばかりか、知能程度も子供に戻ってしまった。けれど赤ちゃんのような状態から教科書と頼りに懸命に勉強し、8年かけてようやく中学程度までに回復した。だから病院の仲間はみんな克己にあやかろうとしている。
いよいよ退院の日が近づいてきた。ずいぶん前に死んだ父親に続いて、献身的は介護をしてくれた母親も死んでしまったから、これからは一人で生きていかなくちゃならない。でも周りの人の暖かい励ましと支援でなんとかやっていけそうだ。
ただひとつ...。失った記憶を取り戻したい。けど、そのことに触れようとすると院長先生もみんな教えてくれない。なぜ? 自分の家に戻っても、あってよさそうな、事故の前後の写真も無い。自分はいったい誰?
記憶を失った主人公が記憶を取り戻すべく、いろいろともがき苦しみ真相に迫る小説です。結末は意外でした(救いがないけど)。
正直、真保裕一の小説って期待して読んだけど、今一歩、面白くありませんでした。
奇跡の人
真保裕一 著
ジャンル 小説
出版 角川書店
405ページ 四六版
価格 1,700円+税
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