ご存知今年の直木賞の受賞作。
直木賞と言っても、なんだか出版社のキャンペーンのようなもんで、あんまりそれ自体を参考にして本を読んだりすることは無いのですが、本屋で手にとってパラパラと読み始めたら停まらなくて、そのままお買い上げとなりました。まんまと出版社にやられちゃいました(笑)
ロケット技術者の主人公、佃が関わったロケットの打ち上げシーンからこの話は始まります。打ち上げ失敗、そして月日は流れ、町工場の社長となった佃が大企業に翻弄されながら夢を貫いていく様子を描いた清々しい企業小説です。
よく考えると企業小説に清々しいというのはなんだか変ですね(笑)
まあ企業小説というものがどういうものかとよく判っていませんが、下請け切り、訴訟に乗っ取り、大手企業や銀行に翻弄される中小企業の様子というのはまさにソレじゃないのかな。
ただそれだけだとドロドロとした感じがするけど、捨てる神あれば拾う神あり。
様々な人たちの支援を受け、苦境を乗り切り、そして大企業にひるむことなく中小企業としての矜持を保つさまはやっぱり清々しいというのが適切じゃないかと思います。
もちろん中小といえども、社内にはいろいろいうヒトもいるけど、それをも包みこむ包容力が主人公にあって流石だと思えるんですよね。いやホント嫌味もないし
面白かったので、著者の別の本も呼んでみたいと思います。
著 者:池井戸潤
ジャンル:小説
出版社:小学館
四六版:416ページ
価 格:1,785円
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