この小説は、ご存知、織田裕二演じる外交官 黒田康作シリーズ、「アンダルシア~女神の報復」の小説版のようなものです。「ようなもの」というのは全く話の内容が違うから。 なにせ本の最後には
この小説は原作者真保裕一によるプロット案を基にして、新たなアイディアを加えて仕上げたものであり、映画『アンダルシア』の忠実な小説版ではありません。ご了承下さい。
と断り書きがあるぐらいですから(笑)
その割には映画『アンダルシア』宣伝の帯がついている辺り、ちょっと詐欺臭い。まあ確かにオビには映画原作というような記載は一切ないのだけど
どのくらい違うかというと、同じなのは、登場人物だと、主人公 黒田康作と ヒロインの新藤結香ぐらい、あっアンドラの刑事二人もそうかな?あと舞台はアンドラとスペイン国内というのも一緒。逆をいうとそれくらいしか一緒の部分が無い...
映画と小説版、ストーリーとして比べたらどっちが面白いかというとやっぱり小説版の方が面白い。
小説版は、フランスとスペインの警察のせめぎ合い、そしてその中で翻弄される黒田とアンドラ警察。邦人である新藤結香の権利を保護しつつ、一方で真相に迫ろうとする黒田の姿がやっぱりいいですね(なぜ外交官が刑事まがいのことをするのかという根本的なことはおいておいて)
まあこういう重層的なややこしい話を映画化は難しいだろうから、きっぱりと小説と映画とストーリーを分けたというところでしょうか。まあ今回のアンダルシアは前作アマルフィほど映画のストーリーがグダグダじゃなかったところを見ると初めからそういうつもりだったんでしょう.
たぶん作られるであろう次作もそういったパターンなら映画も小説も楽しめそうです。
著 者:真保裕一
出版社:講談社
価 格:1,680縁
四六版:338ページ
コメント