「君たちに明日はない」で読み始めた垣根涼介のフィージーを舞台にした恋愛小説です。いや青春群像劇というべきかな?
日本から移住した両親と共にレストランを経営するヨシ、父親の土産物店を手伝うインド系フィジー人のサティー、ガソリンスタンドで働くフィジー人のチョネ、高校のクラスメイトだった3人に、日本からやってきて旅行代理店で働くアコを加えた、彼らの恋愛、そして突如巻き起こったクーデターが絡んで物語は進んでいきます。
クー(クーデターのこと)が起きても、4人のくらす街はのんびり。
もちろん舞台の街がクーデターの起きた首都からは離れているというのもありますけど。
でもクーデターの一端となった住民間のイザコザは、4人の周りに確実にやってきます。チョネの周りがキナ臭くなっていき、とうとう事件が起きてしまいます。果たして四人はどうなるのか...
確かフィジーでは数年前にクーデターが起きましたが、実際もこんな感じだったのかな?一見平和に見える南の島も、いろいろ複雑な事情を抱えているですね。
全編を通じて、南の島のねっとりとした空気が感じられるお話でした。これはこれで「君たちに明日はない」の都会的な話とはまるっきり違っていいですね。
著者 垣根涼介
出版社 講談社
四六版 406ページ
価 格 1,785 円
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