先日のアメリカ下層教育現場の林壮一と同じく、日経ビジネスのHPの連載で知った吉田鈴香というノンフィクションライター(というより学者なのかな?)。この人の文章も取材対象もなかなか面白く感じたので、図書館で借りてみました。
2004年4月、日本人三人がイラクで何者かに拘束されたというニュースを聞いた作者が、日本においてはNGOというものに誤解があることを念頭に、平和構築活動に携わるNGOについて理解を深めることを目的として書かれた本です。
NGOとは、Non-Governmental Organizationsの略であり、 日本語でいうと非政府組織となります。この非政府というのがどうもクセモノで、なんとなくボランティアっぽい、言い換えれば手弁当のアマチュアというニュアンスでとらえられていることが多い気がします(私自身そうでした)。
そのNGOが、どのようにイラクなどの政情不安定である国で活動しているのかを読むと、ただのボランティアとは違う事がよくわかります。ちゃんとしたリスクマネジメントを行い、組織行動ができるからこそプロフェッショナルなのであり、単なる寄せ集めのボランティア集団ではないということなんですね。
そしてNGOが果たす役割についても、詳細に記されています。
紛争が終結したあとどうやって平和を構築していくのか。そこで国際NGOの果たす役割が大きいこと、だからこそ国連や支援国から事業の委託を受け資金を獲得していることなど、本当に知らないことばかりでした。
またネガティブのイメージが強いプライベートセキュリティーカンパニーの立ち位置などがようやくが理解できました。
イラクやアフガニスタンなどに対し、日本が果たす役割を理解しようとするのであれば一読することをお勧めします。
著 者:吉田鈴香
ジャンル:ノンフィクション
出版社:亜紀書房
新書版:188ページ
価 格:1,785円
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