ミツバチが突然いなくなるCCD(蜂群崩壊症候群)って、聞いたことあるでしょうか?
ミツバチが巣を放棄して、いなくなってしまう現象です。2006年頃アメリカで始まり、世界中にその現象が広まっていきました。日本でもその事例が報告され始めましたが、その影響は多大です。蜂蜜が採れなくなるといった単純な話でなく、ミツバチの果実の受粉ができなくなり様々な作物が収穫できなくなってしまうことになってしまうのです。
農業に深刻なダメージを与えるこのCCDですが、原因は現在も判っていません。
この本はそのCCDについて取りあげたノンフィクションです。
久々に、科学系の面白いノンフィクションを読みました。
導入部は物語風にCCDの事象について語り、次にハチの生態について綴る。
このハチ生態の部分はハチについて知っているわずかな記憶を引っ張りだし、そして強化してくれるのですが、読んでいてハチの生態って凄い!と感じましたね。
そしてCCDの原因の追及、農業に与える影響と続くのですが、探偵小説のようでもあり、そして人間の農業が不自然なことをしているのか、いかにミツバチに頼っているかという点に目を向けさせてくれます。
そして、CCDに対するいくつかの取り組み。
未だ、はっきりとした解決策はないのですが、希望を持たせてくれる取り組みを紹介してくれます。
ちょっとくどいところや難解なところもありますが、題材自体もいいし、内容もとても興味を惹く書き方で良かったです。
著 者:ローワン・ジェイコブセン
訳 者:中里 京子
出版社:文芸春秋
四六版:320ページ
価 格:2,000円
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