朝日新聞のアフリカ特派員であった著者が、アフリカの各地で取材の傍ら泊まった宿について綴ったエッセイです。
ジンバブエの想像を絶するハイパーインフレ、ルワンダやダルフールにおける虐殺など、とかく暗いイメージの報道ばかりですが、そんな報道でない等身大のアフリカとはどんなところなのか、寝るという行為を通してアフリカについて語ったエッセイがこの本です。
むろん著者は記者ですから、行く先はなにかが起きた場所。そこで泊まった宿について語った話ですから、明るい話ばかりではありません。
でもあのホテル・ルワンダの舞台であるミル・コリンホテルに事件直後に入った話など、あえてその事件には触れずに、ホテルで働くボーイとのエピソードを書いていますので、いわゆる新聞記事とはちょっと違います(と言っても、この本自体新聞連載だったようですが)
大概の話は取材先のホテルでの話ですが、私が読んで印象に残ったのはケニアの北部に住んでいるというサンブル・マサイ族の放牧先での宿。もちろん放牧先ですから、宿と言っても建物があるわけでなく、いわゆる野宿。でも夜空に広がる満点の星空というのはやっぱりあこがれちゃいますね。
アフリカで寝る
著 者:松本 仁一
ジャンル:エッセイ
出版社:朝日新聞
四六版:238ページ
価 格:1,800円
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