そのまんまタイトル通りの本です。
フェルメールはご存じ寡作の画家で、現存する絵は30数点。となれば全部見て回ることも可能だろうという企画の本です。厳密に言うと、盗難にあって行方知らずの「合奏」など4点は見ていないのですけど...
この本は絵についての記述か主眼で、旅そのものについてはあまり触れられていません。
しかしフェルメールの絵画を所蔵している美術館がある都市毎に章立てされていますし、所蔵されている美術館の略歴や街の雰囲気等も書いてありますので、とても旅心がそそられます。
もし旅行先でフェルメールを見たいのであれば、この本がとても参考になるでしょうし、実際、この本を読んで出かける人も多いのじゃないでしょうか(他館への貸し出しには十分注意が必要ですけど)
メインのフェルメールの絵については、各美術館の学芸員に会って取材しているだけあって、とても興味深い内容になっています。
絵がたどった来歴、フェルーメールがいた十七世紀のオランダの置かれた状況や、絵に書かれたもの(楽器や天秤など)からそこ絵に込められた意味<寓意>読むことについて、詳しく書かれていてとても参考になりました。
フェルメール展に行く前に読んでおけば、いや、フェルメール展に持って行けば良かったかな?
フェルメール全点踏破の旅
著 者:朽木 ゆり子
ジャンル:ノンフィクション(旅行記)
出版社:集英社
新書版:250ページ
価 格:1,050円
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