ジェフリー・ディヴァーのリンカーン・ライムシリーズの第三作です。
ただこの作品がちょっと異色なのは、舞台がニューヨークではなくノースカロライナであること。 脊椎損傷によって全身不随となったライムが、手術を受けに行ったノースカロライナのパケノーク郡で地元警察の要望により、誘拐事件の操作指揮を執るというストーリーです。
2002年度版このミス10 11位かつ2001年文春ミステリーベスト10 3位だそうですが...しかし、私が読んだライムシリーズの中で一番面白くなかった。なんでなんだろう?舞台がニューヨークじゃないから?
理由として考えられるのは、舞台が人間関係が濃密な田舎の町での話ですから、登場人物同士になんらかの繋がりがあるのが当たり前。結局、それが最後に鍵となっていた訳なのですが、まさにそこがライムシリーズに合わなかったということのような気がします。
もちろんディヴァーはその人間関係もきちんと記述して、過去に起きた事件の真相も暴きだしたのですが、やっぱり自分が読み慣れたライムシリーズのテンポじゃない気がして。
今まで読んでいたライムシリーズは、科学捜査に基づき犯人を追い詰めていくというストーリーで、どちらかというとトリックは複雑だけど人間関係は単純。 やっぱりそういうストーリーの方がいいなぁ...
あとエンプティ・チェアというタイトルもイマイチ。
邦題だけでなく原題も同じなのだけど、今までのタイトルは犯人を示唆するようなタイトルだったけど、今回は違う。しかもトリックに絡む訳でもないし、正直なんでこんなタイトルになったのか意味がわからん!
「ブラック・ウォーター」とか、「パコの北」と名づけた方がよっぽどしっくりくるんですけど
エンプティー・チェア(上)・(下)
著 者:ジェフリー・ディヴァー
訳 者:池田 真紀子
ジャンル:小説(ミステリー)
出版社:文芸春秋
文庫版:(上)387ページ・(下)353ページ
価 格:各 750円
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