科学捜査専門家のリンカーン・ライムとニューヨーク市警のアメリア・サックスとが知能犯と対決するリンカーンシリーズの第5作です。
ぜんぜんシリーズの順番通りに読んでいないのですが、まあ問題ないでしょう。今回のお相手は邦題の通り、魔術師(イリュージョニスト)です。
考えてみればこういう推理モノは、犯人が如何に警察や探偵たち(そして読者)の裏をかくトリックを考えるという点は、イリュージョンとそっくりですね。
奇しくもシルクドソレイユの専用劇場がディズニーリゾートに出来たり、企業活動としてのシルクドソレイユに関する記事を読んだばかりだったので、そういった意味でも興味深く読みました。
物理的なテクニックに心理的なテクニックを使う犯人。
イリュージョンの手法を駆使した犯人が起こす事件の数々。その現場に残された証拠品=解決の糸口は、正しいのそれとも犯人の誤導なのか?
読んでいる方は、ディーヴァーの手のひらの中であっちこっちに翻弄され、グイグイとリンカーンライムの世界に引き込まれていきます。この文章力は毎度のことならがお見事ですね。
最後にあっと言わせる結末もありますし、ミステリーファンならお勧めです。
著 者:ジェフリー・ディーヴァー
訳 者:池田 真紀子
ジャンル:小説
出版社:文芸春秋
四六版:515ページ
価 格:2,200円
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