著者の田中森一さんは"ヤメ検"、いわゆる検事を辞めて山口組(もちろんヤクザの)の弁護士になった人です。
しかも唯の検事じゃありません、東京地検の特捜部で撚糸工業組合連合会汚職事件や平和相互銀行不正融資事件などの事件を担当した現場叩き上げの凄腕の検事だったのです。
その人がなぜ検事を辞めたのか、検事の世界そしてそのヤメ検弁護士となった後の闇社会と付き合いをを赤裸々に記した、とうより暴露したのがこの本です。
いやー裁判は終わって区切りはついているとはいえ、こんなことまで書いちゃっていいのかと思うような内容が、たくさん書かれていて、一時期、話題になったのも判ります。
出版社が幻冬舎だからでしょうね。
話はちょっと外れますが、この幻冬舎は若い出版社(1993年設立)ですが、今までに無い新鮮な切り口の本をたくさんだしていて、本好きのワタシとしてはとても好きな出版社の一つです。
ちょっと話はズレましたが、久々に物事の善悪を、読み手に委ねる本を読んだ気がします。
前半は世間一般から正義の味方と思われている検事時代の話ですが、やはり正義一辺倒じゃない政治的圧力の話や闇社会との付き合いも必要とばかりに書かれています。
かと思えば、後半は闇社会といわれている部分の必要悪的なところ、つまり法律一辺倒じゃ現実的には進まない、つまり表社会の活動がスムーズに行われる為に必要性を強調されていて、何が正義なのかだんだんと読んでいてあやふやになってしまいます。
最後に書かれていますけど、やはり著者がいうところのエスタブリッシュメント(トップ層)とアウトロー(闇社会) が複雑に絡み合っている、それが社会の現実なんでしょうね。
著 者: 田中 森一
ジャンル:ノンフィクション(手記)
出版社:幻冬舎 アウトロー文庫
文庫版:574ページ
価 格:800円
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