すばる、それは日本が誇る世界最大の一枚鏡をもつ反射望遠鏡です。
ハワイのマウナ・ケア山にあるその天体望遠鏡の名を耳にしたことがない人はいないでしょう。遙か彼方の宇宙の星々の綺麗な写真には目を奪われます。
またちょっと技術に興味のある人なら、直径8.2mという世界最大の反射鏡を制御する最先端の技術(鏡の自重による歪みを制御する為、裏側からコンピュータ制御されたアクチュエーターで鏡を押し出す)に興味を持つかもしれません。
この本はそういったすばる望遠鏡の技術・建設物語と、様々な写真を織り込んだすばるによる研究成果を織り込んだノンフィクションです。
著者は国立天文台長だった海部さんですが、いわゆる学者にありがちな理屈っぽさは微塵も感じさせません。まるでノンフィクション作家のような組み立てと文章力はちょっと驚きました。
やはり星空というのは誰でも興味を持ちやすい分野ですので、素人に説明することは慣れてらっしゃるのでしょうね。
またそれにも増して、ところどころに差し込まれている写真の素晴らしさ。
この写真は現役の国立天文台の方である宮下さんによるものですが、思わずため息が出るような美しさです。なんか一生懸命星空を見ていた昔を思い出します。
ノンフィクションとしても星空の写真をみるにしても、楽しめる一冊だと思います。
著 者 海部 宣男
写 真 宮下 暁彦
ジャンル ノンフィクション
出版社 岩波書店
新書版 196ページ
価 格 1,050円
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