この本の著者は「初恋の人探します社」の代表、その名の通り誤解したまま別れてしまったあの人、あの時、行方のわからない恩人、そんな人たちを探し出す仕事をしている探偵社の社長さんです。
もちろん探偵社ですから、社名のようなロマンチックな初恋の相手探しだけでなく、浮気調査やW不倫の末に駆け落ちしてしまった二人を探すような仕事もします。
中にはSMクラブの女王様を探し出すような仕事も...
この本に登場する依頼の話の半分はそういう話。
そういう話ではなくても、例えば生みの親を探し出したいという依頼で探し当てたものの、当の母親は父親への恨みからか、子供を生んだことを自体を否定したというような殺伐とした話もあります。やっぱり探偵社ですから、普段知らなくてもよい人生の裏側を見てしまう事が多いのでしょうね。
でも依頼の中には、「様々な事情で別れてしまったが、一度は将来を誓い合ったあの人の今は?」というものあります。その調査の結果が依頼人の長年の気がかりを解消できた、そんな時があるからこそ、こんな仕事をやっていて良かったと感じるという著者の気持ちもわかる気がします。
この本はそういった様々な依頼の話を横糸に、そして仕事のパートナーでもあった父や母、そして弟といった著者の家族の話を縦糸に、とかく殺伐となりがちな探偵社の様子を温かく綴っています。
人と人との絆ってなんだろう?って考えさせられました。
著者 佐藤 あつ子
ジャンル ノンフィクション
出版社
四六版 158ページ
価 格 1,050円
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