40億円の宝石!
それだけでちょっとした驚きですが、それだけの金額の宝石を盗んだ泥棒がアメリカに実在するというのもまた驚きです。
しかも人を傷つけない、留守宅を狙う、単独行動という三原則を決めて行動しているとくれば、映画のような話じゃないですか。
その宝石泥棒(著者)の告白に基づいて、ノベライズされた本がこの本です。
人々の輪の中に自然と溶け込む才能をもつ著者は、社交界に潜り込みターゲットを選定します。ターゲットを決めた後はその行動パターンや家の警備状況を調べ上げ、粘り強くチャンスを待ちます。発作的に盗みに入ったり、荒っぽいことはしません。
しかし進入の仕方は、シンプルで大胆。まるでミッション・インポッシブルのように、ビルの屋上からロープで降りたり、一歩間違えば真っ逆さまに転落というようなところから入りこんだりしています。
むろんノベライズする際に若干の脚色をして書いているのでしょうけど、それでもハラハラしながらどうなるんだろうと、引き込まれて読んでしまいました。
昼間は不動産の管理人として働き、家庭を持っていた彼ですが、お金というよりスリルを楽しんでいたように思えます。妻や子供の為に、何度となく盗みを止めようとしますが、結局止められず、ずるずると盗みを重ねてしまいます(この辺はミラーマンと一緒ですね)。
その心の葛藤、そして映画みたいなストーリーと描写で面白く読めました。
著 者 ビル・メイソン/ リー・グルエンフェルド
訳 者 田村 明子
ジャンル ノンフィクション
出版社 集英社
四六版 471ページ
価 格 2,500円
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