パズル・パレスを読んでエニグマに興味を持った訳ではないのですが、暗号に関する話です(エニグマに関する本を買いに行って、ついでに見かけたパズル・パレスを買ったら暗号に関する話だった...というのが真相です。まっどうでもいいですけど)
エニグマは第二次大戦中にドイツ軍が使用していた解読が不可能といわれていた携帯型の暗号機です。
戦時下において自分達に関する情報が洩れないように、無線通信を暗号化するというのは想像に難くないですし、逆に敵の通信を傍受して自分達の作戦を優位に運ぶというのもまたしかりですね。
この本ではエニグマ暗号の解読に取り組むイギリスそしてドイツとの、静かなる、でも重要な戦いを描いた本です。
暗号解読で大事なのはもちろん解読することですが、さの次に重要なのは暗号が解読されたという事実を敵にさとられないようにすること。解読したことを知られると重要な情報は流れなくなりますからね。
第二次世界大戦で暗号解読の中心となったイギリスでは、エニグマに関する情報は「ウルトラ情報」と呼ばれ徹底的に情報を統制していました。その情報統制は終戦後も続き、今をもって謎が多くて全容が解明されていないほどです。
戦時中、エニグマに関する情報はロンドン郊外のブレッチェリー・パークという町に集中的に集められ、当時としては信じがたいほどの計算機を集め解読作業が続けられたといいます。しかしながら戦後、チャーチルの命令により、全ての痕跡を消すように命じられたたブレッチェリー・パークは静かなイギリスの田舎町に戻ってしまい、当時を思わせるもおのは何も無いそうです。
普通のノンフィクションというよりは戦史といった感じが強いのですが、なかなか面白かったです。
もう少し読み物的に工夫されていると、もう言うこと無しでしょうね。
著 者 広田 厚司
ジャンル ノンフィクション
出版社 光人社
文庫版 295ページ
価 格 760円
コメント