夜空の星を見上げ、ふと思った疑問。
・ 明日の日の出の時間は?
・ 夕暮れに見えるあの星は何?
国立天文台には広報普及室というセクションがあって、そんな疑問に答えてくれます。
この本の著者、長沢さんは国立天文台で10年あまりの間、そんな質問に答えてきました。
中には質問に答えづらいものもあります。
たとえば春分の日について。天文学的には、春分の時間は計算ではじき出せます。けれど春分の日はそのデータを元に、内閣府が前年の2月に決定されるものだそうです。
そんなの一般の人にはわからないですよね。我々が興味を持つ肝心な部分はいつ休みになるか
ということ。いくら説明しても理解してくれない人もいるようです。
あとは正午を30分過ぎた時刻は、午後12時30分なのか?午前12時30分なのか?
どっちだと思います?
この辺りは法律でも明確でないらしいです。
1872年(明治5年)に出された太政官達にある規定では午前は零時から十二時まで、午後は一時から十二時までとなっていて、なんと法律でも規定されていないだそうです。
なるべく、質問に答えようとしている長沢さんですが、なかには天文台の範疇外の質問も浴びせられます。
月の呼び名や、七夕の風習はいつごろから始まったかという質問などです。
月の呼び名ならまだしも、七夕の由来なぞは天文台ではわかりません。
わかる範囲での回答になってしまいます。
その他にもどこの電話相談でもいるであろう困ったちゃん。
いろいろな難問・珍問に答える天文台の舞台裏を、興味深く読むことができました。
著者 長沢 工
ジャンル ノンフィクション
出版社 新潮社
文庫版 220ページ
価 格 1,680円
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