毎年8月の終戦記念日のあたりになると、新聞をにぎわす閣僚の靖国神社の参拝問題。なにが問題がされているのかご存知ですか?
戦後が終ってかなりたってから生まれた私なんかは、政教分離の原則に反する、A級戦犯が合祀されている、などが問題とされているんだろうなぁくらいは容易に想像がつきます。
しかし立場が変われば、物の見方が変わります。
この本では、感情の問題、歴史認識の問題、宗教の問題、文化の問題、国立追悼施設の問題と大きく5つの章立てで、参拝に賛成する人、反対する人の意見を紹介しています。
ややこしいのは、同じく兵役で戦没した遺族の中でも、賛成の人もいれば反対の人もいる。
反対の人の中でも反対とする理由がまったく異なること。靖国問題とは様々に入り組んだ複雑な問題であることがわかります。
そして反対理由を回避するために提唱されている、様々な解決策について、一つ一つ検証しています。けれどどの解決策にも問題点があることが判ります。
どちらかというとこの本は参拝反対寄りの視点で書かれていますが、問題点を論理的に書かれていて、非常にわかり易い本です。靖国問題とは何?と頭の中を整理するにはうってつけの本です。
著 者 高橋 哲哉
ジャンル 人文・思想
出 版 筑摩書房
文庫版 238ページ
価 格 756円
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