「罪を憎んで人を恨まず」って、言葉がありますよね。
宗教用語?真の意味はよくわからないけど、「罪を犯した人、その人を恨むのでは無く、恨むなら罪を犯さざろう得なかった環境(社会?)を恨みなさいよ」という事でしょうか。
けれど人間ってそうそこまで達観した境地にはなかなか至らないもので、被害を被った人は当然としても事件に関係の無い人であっても、罪を犯した人を恨み「アイツは犯罪者だ」とレッテルを貼る。そしてそれは犯罪者本人だけでなく、その家族にまで貼られてしまう。アイツは「殺人者の弟だ」と...
この本は弟のために罪を犯し服役中のた兄からの「手紙」と、殺人者の弟だという負い目をもった主人公の生活と心情を綴った話です。
犯罪者の弟が感じる疎外感。兄のことを隠して生活していてもやがてはバレてしまう。そのとたん腫れ物に触るように、あるいは露骨に自分たちの周りから弾き出そうとする人。なかには以前と変わりなくつきあってくれる人もいます。そしてとうとう、ある決心をした主人公に見せられた手紙。そこから感動のラストへと続きます。
読み終えてなんかスッキリしない(救いが無い)話ですが、東野圭吾の話の紡ぎ方に旨く、引き込まれます。
東野圭吾 著
ジャンル 小説
出版 毎日新聞社
357ページ(四六版)
価格 1,800円
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